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言葉のクロッキー

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60歳目前の生命保険セールスレディ。一度喋り出すと止まらない。自分の喋りに自分で大笑いして、キャハハと銀歯を見せる。彼女の話に反駁すると、いっそう大声で、かつ早口でまくしたてられる。そして、彼女は口で負けると「悪うごさいましたっ」と開き直り、逆に勝つと「ほれみろ」と鬼の首でも取ったかというような態度に出る。常に自分が正しいのだろう、彼女からごく普通の謝罪の言葉を聞いたことがない。自分の非を認めることが出来ないのだ。それによって、我が身の全てを否定されるように感じるのかも知れない。よって常に、彼女は話す相手に対して一方的である。非常に話しにくい人、取り付く島のない婦人、私の母親!


内向的で気が短い。言葉少なく、表情で分からせようとする。苛立ちやすく、苦虫を噛み潰したような顔をしていることが多い。仕事は非常に真面目で、営業職に誇りを持っている。そのためか、家庭内では些細なことに腹を立て、身近なものを投げつけ、妻子を殴り、酔ってわめき散らす。何につけ妻のせいにするが、本人は自分の短気であると分かっている。しかしながら、笑顔の作り方を知らず、家族サービスの方法を知らず、身内に対して営業しない。本音の会話が照れくさく、あえて他人の理解を求めない、それでいて人一倍承認の欲求が強い、「分かってくれ」と決して言えないジレンマの人、私の父親!

マンホール

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平日の日中は人通りの多い、住宅街から線路沿いに駅へ向かう通りは、特徴もなければ信号もない退屈な一本道であった。
その道の住宅街側の路肩と、一方通行の車道を白線が隔て、白線に沿って所々にマンホールの蓋が点在していた。その中のいくつかは、寒い季節に湯気を上げるものもあり、ある初冬の早朝、一匹の野良猫がマンホールの上で暖をとっていた。
ひどく静かな明け方で、野良猫を驚かす要素は何もないはずであったが、不意に野良猫は、飛び上がるように住宅街の塀に上った。
野良猫が、閉じていた目を開いて塀に飛び上がるまでの数秒間、野良猫が暖をとっていたマンホールの蓋は、回転していたのだ。
初めに、周囲の溝を埋めていた砂が弾かれ、次の瞬間には風も起きないほど正確な回転が最高速度に達し、蓋が熱を持つ間もなく、何事もなかったように停止したのである。
もちろんそれ以前に、そのマンホールの蓋が回転したことはないし、それ以後も二度と回転しなかった。

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プロフィール

■chitoku(ちとく) 1969年山梨県生。様々な業態、職種で会社員として勤務する傍ら、『文芸山脈』同人を経て「村松恒平 文章学校」の案内係としてメルマガ編集・発行及び「文章ゼミ」運営に参加する。「文集 地下城」は詩歌を含む習作掲載サイト。2009年4月、同門の上野家ぱん駄、火星紳士との合体作品集『火星パンダちとく文学』で掌編小説作家としてデビュー。

火星パンダちとくのちとくです。

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