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なんちゃってSEの不誠実の最近のブログ記事

夜になって、俺は不祥事の発生時にどんなメールを見たのか確認しなければならなかった。該当メールを現場リーダーに知らせるよう指示があったからだ。
ところが、9月12日から13日にかけて、メールの履歴は殆どなかった。
実際、俺はWEBメールにアクセスしたが、そのメールアドレスは転送設定のアドレスで、閲覧しようにもメールはサーバーに残らないのである。ところが、覚えていないものだから、余計な嘘をついてしまっていたわけだ。仕方がないので、該当日の半日ほど前に受信している知人のメールマガジンを該当メールと見做して、現場リーダーにメールを打った。
いずれにしても、業務規約の違反であることは変わらない。ツイてない...、ダンマリ決め込むしかないと観念した。
次の日は夜勤だったが、夕方のミーティング時に俺は招集されず、別室で現場リーダーと時間を潰すことになった。恐らく、この事件に関する注意や事態の現況について語られており、現場の別会社メンバー(発注要員)への配慮などがあったと思うが、俺はすっかり味噌っかすであった。その日の夜勤は、WEBどころかブラウザさえノータッチで過ごした。
翌日、夜勤明けで自宅に戻り、仮眠し終わった金曜日の夕方、現場リーダーから電話が来た。
「今日であなたは現場終了です、連休はゆっくり休んでください」
シフト勤務の現場は、土日も祝日も関係なく、秋の5連休は中2日以外勤務の予定だったが、急に5日間空いてしまった。家族には単に、現場勤務が終了したと伝えた。

夕方、俺と現場リーダーの二人が、部長に呼び出された。ビルの一階にある喫茶室で、今回の不祥事についての説明と訓示を受けた。
部長によれば、三か月前に社会的にも注目された情報漏えい事件が起きたばかりのこの現場で、起きてはならないことが起きてしまった、と客先では非常に憂慮すべき事態と見做しており、俺の知らない間に社長始め主要役員は謝罪訪問済みであった。
「例えば、盗んじゃいけないという約束があれば、1円だって盗んだら違反なんだよ」と営業部長は力説した。現場全体も意識レベルが低いと、現場リーダーは俺以上に責められているように見えた。
つまり、俺の軽率なWEBメールアクセスが、客先にとっては契約解除を検討せざるを得ないと厳しい評価を受け、会社は役員総出で事態の収拾に奔走し、現場でも俺以外に業務以外でネットにアクセスしていた者はいないか等厳しく追及されているという事態を、先ほどまで俺一人だけ知らなかったのである。
俺は、今回の件を概ね理解し、弁明や言い訳はもとより、殆ど何も言えない立場に置かれていると自覚した。許しを乞う言動さえ打算的で不謹慎であるから、完全な指示待ち状態にならざるを得なかった。
その場は一時間ほどで、俺は現場に戻された。現場では、通常通りの業務が行われていたが、俺に指示や依頼は全くなかった。


続く......

夜勤明けの後、二日休んで次の出勤は16日の日勤であった。
出勤するなり、ちょっと話があるから、と通常ミーティングに同席せず、マネージャーに呼ばれるまま面談の体裁となった。そこで、一通のメールのコピーを見せられた。セキュリティ系別部署からシステム部部長に宛てた、違反アクセスの確認指示書とでも言うべき書面で、何人かの主要人物を経てマネージャーに送られてきたものだった。
俺は、三日前の夜勤のことなど全く覚えていなかった。けれども、禁じられた「業務以外の外部アクセス」は心当たりがあるし、メールには俺のIDやアクセス時間とともに、アクセスしたURLが記載されていた。
マネージャーからの確認事項は、本当に俺がアクセスしたか、何時頃アクセスしたか、何か送ったか、送ったなら何か、等々。俺はそれでも思い出せずに、けれどもメール文面に心当たりがあり、多分深夜の時間帯でメールを見たと思います、程度のことしか言えなかった。
マネージャーは、物腰の柔らかい人物で、確認が済むと現場に戻された。俺は、悪気はないし、そもそも記憶もないので、この時点では「やっちゃった」程度の認識しかなかった。
ところが、現場に戻ると、他のメンバーの様子が俺に対してぎこちなく、いつもたいしてお喋りもしないが、この日は目も合わせようとしない。俺の休日中に、何かあったかもしれないと感じたが、それを誰かに尋ねるほど俺は現場に馴染んでいなかったし、暇でもなかった。
そして、その日の夕方には、めったに来ることのない営業部長が現場に来た。

続く......

今日から8週目、座っているだけの本社待機。初めてではないけれど、不祥事による急な引き揚げだったから、ぐうの音も出ない。
辞めたいなどと我儘も言えず、旧知の社員と談笑するわけにもいかず、ただ恐縮して座っているのである。
 *
発端は、9月12日から13日にかけての夜勤、私のWEBメールアクセスであった。
東京・丸ビル内の金融系客先システム部の現場では、業務以外の外部アクセスを禁じていた。それは別段珍しいことでもないし、現場内の携帯電話利用に制限はなかったので、勤務中の外部との連絡に何の支障もなかった。俺も、なるべくネット利用せずに過ごしてはいた。ただ、厳密なハードウェア上の制限はなかったから、必要があれば、アダルトや掲示板系以外の一般サイトには、いつでもアクセスすることが可能であった。
その環境で、就任4ヶ月、その日の夜勤にて、暇を持て余していた俺は、何の気なしに利用しているホスティングサイトにログインし、普段殆ど利用することのない「携帯表示用WEBメール」という付属機能を開いてしまった。
転送のみに設定しているメールアドレスだったので、単なる稼動確認同様の、一瞬のアクセスであった。馬鹿な話である。わざわざ勤務先でアクセスする必要など、微塵もなかったのである。

続く......

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プロフィール

■chitoku(ちとく) 1969年山梨県生。様々な業態、職種で会社員として勤務する傍ら、『文芸山脈』同人を経て「村松恒平 文章学校」の案内係としてメルマガ編集・発行及び「文章ゼミ」運営に参加する。「文集 地下城」は詩歌を含む習作掲載サイト。2009年4月、同門の上野家ぱん駄、火星紳士との合体作品集『火星パンダちとく文学』で掌編小説作家としてデビュー。

火星パンダちとくのちとくです。

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