平日の日中は人通りの多い、住宅街から線路沿いに駅へ向かう通りは、特徴もなければ信号もない退屈な一本道であった。
その道の住宅街側の路肩と、一方通行の車道を白線が隔て、白線に沿って所々にマンホールの蓋が点在していた。その中のいくつかは、寒い季節に湯気を上げるものもあり、ある初冬の早朝、一匹の野良猫がマンホールの上で暖をとっていた。
ひどく静かな明け方で、野良猫を驚かす要素は何もないはずであったが、不意に野良猫は、飛び上がるように住宅街の塀に上った。
野良猫が、閉じていた目を開いて塀に飛び上がるまでの数秒間、野良猫が暖をとっていたマンホールの蓋は、回転していたのだ。
初めに、周囲の溝を埋めていた砂が弾かれ、次の瞬間には風も起きないほど正確な回転が最高速度に達し、蓋が熱を持つ間もなく、何事もなかったように停止したのである。
もちろんそれ以前に、そのマンホールの蓋が回転したことはないし、それ以後も二度と回転しなかった。

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