夕方、俺と現場リーダーの二人が、部長に呼び出された。ビルの一階にある喫茶室で、今回の不祥事についての説明と訓示を受けた。
部長によれば、三か月前に社会的にも注目された情報漏えい事件が起きたばかりのこの現場で、起きてはならないことが起きてしまった、と客先では非常に憂慮すべき事態と見做しており、俺の知らない間に社長始め主要役員は謝罪訪問済みであった。
「例えば、盗んじゃいけないという約束があれば、1円だって盗んだら違反なんだよ」と営業部長は力説した。現場全体も意識レベルが低いと、現場リーダーは俺以上に責められているように見えた。
つまり、俺の軽率なWEBメールアクセスが、客先にとっては契約解除を検討せざるを得ないと厳しい評価を受け、会社は役員総出で事態の収拾に奔走し、現場でも俺以外に業務以外でネットにアクセスしていた者はいないか等厳しく追及されているという事態を、先ほどまで俺一人だけ知らなかったのである。
俺は、今回の件を概ね理解し、弁明や言い訳はもとより、殆ど何も言えない立場に置かれていると自覚した。許しを乞う言動さえ打算的で不謹慎であるから、完全な指示待ち状態にならざるを得なかった。
その場は一時間ほどで、俺は現場に戻された。現場では、通常通りの業務が行われていたが、俺に指示や依頼は全くなかった。


続く......

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プロフィール

■chitoku(ちとく) 1969年山梨県生。様々な業態、職種で会社員として勤務する傍ら、『文芸山脈』同人を経て「村松恒平 文章学校」の案内係としてメルマガ編集・発行及び「文章ゼミ」運営に参加する。「文集 地下城」は詩歌を含む習作掲載サイト。2009年4月、同門の上野家ぱん駄、火星紳士との合体作品集『火星パンダちとく文学』で掌編小説作家としてデビュー。

火星パンダちとくのちとくです。

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