鳥肌が俺を呼んだ

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その男のことをよく知らないのに、ここ3・4年、気になって気になって仕方が無かった。
初めて目撃したのは、民放、深夜の、ドキュメンタリー番組であった。
けれども、番組の途中から、断片的な見方であった。
そのためか、気になり出したのは、番組を見て数日経た頃からである。

その男は、日の丸を額に巻いていた。
軍服を着て、街頭演説をしていた。
ふんどし姿で、おニャン子クラブ?を歌っていた。
地下足袋で、竹槍を担いでいた。
日比谷のステージで、人間魚雷になっていた。
パン工場でインタビューされていた。
そして、常に真剣な表情をしていた。
俺は、笑えなかった。

その男を分かりたいと思った。
何故に日の丸なのか、何故に軍服なのか。
そういったことよりも、どうして一人なのか理解したかった。
マニアックとか、カリスマとか、少し違う。
感服し、最敬礼することこそ、その男に繋がる手段だと思った。
ところが!
俺にはそれが、恥ずかしくて出来ないのである。
その男のビデオやCDを恥ずかしくて買うことが出来ない。
ましてや、ポスターを部屋に貼るなど!
だからこっそりと、誰にも告げず、独りでその男のことを考えていたのだ。
隠れ信者?
おお!その男こそ鳥肌実!
鼓動が加速し、胸が圧される!
俺だけが、その男を理解できると確信してしまう。
俺だけが、その男と分かり合えると思わされる。
秘密の、背徳の、孤独な一体感!

かつて、20年ほど前にも、俺の鼓動を加速させた男がいた。
ある日突然夭折してしまったため、その男のコンサートには、遂に行くことが出来なかった。
尾崎…
彼らの表現活動は全く違うけれども、俺の胸の高鳴りは、殆ど同じなのである。
かくして俺は、鳥肌実「時局講演会」のチケットを入手した。
夭折してしまう前に、と考えたのではない。
JR新宿・東南口から、「時局講演会」看板が見えたのである。
大きな看板に映える、巨大な鳥肌実が俺を呼んだのである。

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プロフィール

■chitoku(ちとく) 1969年山梨県生。様々な業態、職種で会社員として勤務する傍ら、『文芸山脈』同人を経て「村松恒平 文章学校」の案内係としてメルマガ編集・発行及び「文章ゼミ」運営に参加する。「文集 地下城」は詩歌を含む習作掲載サイト。2009年4月、同門の上野家ぱん駄、火星紳士との合体作品集『火星パンダちとく文学』で掌編小説作家としてデビュー。

火星パンダちとくのちとくです。

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