久々に参加した、「文章秘伝の会」でのこと。
今回、友人に会を紹介して、同伴参加したのです。
この友人、中学校からの同級生で、現在は都内で、グラフィックデザインなどの仕事で独立している、美術系のツワモノです。あるとき、「本を出してみたい」と、恥ずかし紛れに私などに漏らすもんだから、ひとまず「文章が上達する学校」を勧めておいたのです。
中学でも、高校でも、何につけ、リードするのは友人の方で、現在でもそれは変わっていないのです。友人は、何か新しいことを始めようと呼びかけて、同調する周囲の小心者を引っ張っていくタイプなのです。
だから、私が参加する今回の会に、試しに誘ってみたところ、二つ返事で友人が乗ってきたのは、むしろ意外なことだったのです。
さて当日、私と友人は少し遅れて参加、いきなり「30ドル」のゲームに対峙したのです。これは、任意に選んだ誰彼に対して、相手が喜ぶであろう言葉を紙に書いて、それを10ドルで買ってもらうというゲーム。私でさえ、何度やっても慣れない苦手なゲームなのです。初対面かつ話しもしてない赤の他人を見て、いきなり「贈る言葉」が出るはずないのです。それでも、容姿や仕草やちょっとした挙動から何かを読み取って、ギュウギュウいいながら言葉をひねり出さねばならないのです。それでも多くの場合、「ごめんなさい」と買ってもらえず、顔を赤くして席に戻るのです。
また、言葉を貰って買う、ということも同時課題なので、黙ってむっつりしていると、誰も売りに来てくれないから困ります。他人への言葉を考えながら、さりげなく「買ってくれそう」な自分を演出してみたり。さらに、今回のゲームに限って、「一度売ろうとした相手には、断られても買ってもらうまで他の相手に売りに行ってはいけない」という特別ルールが設けられたのです。そのせいか会場は、いつになくゲーム中の人の往来が少なかったのです。
そんなゲーム、初めての友人には、きっと相当酷だったのです。どこへ出かけても強気で、横柄にも受け取られかねない平時の友人らしさは見られず、手も足も出ないといった様子。友人は、最後まで何も書けず、誰からも言葉を売り込まれなかったのです。ゲームのあらましなど、予め話しておくべきであったと反省した次第。
終了後、友人に、恐る恐る感想など聞いてみると、「言葉がちっとも出てこなかった」とのこと。「畑違いだからしょうがない、いい刺激だったよ」とも。その微妙な感想には、ふやけた笑みを返す他無かったけれども、「言葉が出なかった」原因は、「畑違い」にあるのではなく、語彙の貧困でもない筈なのです。
ならば、その原因とは?

答え:緊張と動揺(羞恥心は誤答)

解説:見ず知らずの初参加のセミナーで、何のためらいも無く、リラックスして堂々と自分らしく振舞うことなど、訓練したって出来るものではない。そういう場面においては、筋肉も思考も、本能的に制限されてしまう。(緊張)
また、課された作業が単純で、経験者はサラサラと書いて盛んに売り買いをしている。今回初めての友人にとって、彼らの動きは不気味でさえあるのだ。友人には、彼らの頭のメカニズム、すなわち、どういうプロセスを経て言葉が出てくるのか、全く分からない。(動揺)
以上のことから、「方法が分からなかった」という答えは正答に準ずるものとする。
「羞恥心」は、二次的なものであることから不正解とする。

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プロフィール

■chitoku(ちとく) 1969年山梨県生。様々な業態、職種で会社員として勤務する傍ら、『文芸山脈』同人を経て「村松恒平 文章学校」の案内係としてメルマガ編集・発行及び「文章ゼミ」運営に参加する。「文集 地下城」は詩歌を含む習作掲載サイト。2009年4月、同門の上野家ぱん駄、火星紳士との合体作品集『火星パンダちとく文学』で掌編小説作家としてデビュー。

火星パンダちとくのちとくです。

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